2018.10.29
理事長ブログ
虫歯からの全身疾患
虫歯を放置すると危ないことが!
虫歯の放置は危険!
年代別に見ると、歯科医療の発展と予防意識の浸透により、子供の虫歯は年々減少していますが、大人の虫歯は減っていません。
大人の虫歯には、治療済みの歯が再び虫歯になったもの(二次う蝕)や歯茎がやせて露出した歯の根もとに起きる虫歯(根面う蝕)があります。
少し驚かれるかもしれませんが、虫歯が原因の死亡例が世界中で報告されています。
古くから「歯性病巣感染」という言葉で「お口の中のバイ菌が、全身疾患を引き起こしたり、最悪のケースでは死を招く」可能性があることへの警鐘が鳴らされています。
もちろん誰にでも起こる話ではありませんが、ここではあまり知られていませんが虫歯から起こる運の悪い病気の進行について解説します。
虫歯菌の感染で骨が溶けます
まず、穴が空いた虫歯は自然治癒することはありません。
放っておくとバイ菌はどんどん病巣を広げ、穴は深くなり、バイ菌が歯の神経を侵すようになります。
そのため、多くの人がその痛みに耐えかねて歯科医院を訪れることになります。
しかし、不幸にも治療を受けずに穴を放置したままにすると、歯の神経は死に、バイ菌は根尖性歯周炎という感染症を引き起こし、歯の根の周りの骨を溶かしていきます。
虫歯菌の感染で顔が腫れます
根尖性歯周炎が進行し、歯が植わっているあごの骨の中で化膿した炎症が広がると、根尖病変と呼ばれるようになり、あごの下のリンパ節が腫れるようになります。
(左)上の前歯に虫歯の穴が見られます。あごの骨の中で化膿した炎症が広がると、X線写真で歯の根の先に黒い影(→)が見えるようになります。
激しい時には顔が変形し左右非対称になります。
さらにひどい場合では、化膿した炎症が周囲の歯槽骨骨髄あるいは顎骨骨髄にまで達し、骨髄炎を引き起こすこともあります。
虫歯菌が血流にのって全身へ
通常、虫歯菌が血管内に侵入しても血液中には免疫機能を担う白血球がいますので、虫歯菌やその他バイ菌が全身に広がる事はありません。
歯の根まで進んでしまった虫歯を放置しておくと感染性心内膜炎を引き起こすことがあります。
しかし、白血球などの血液疾患や糖尿病などの基礎疾患があったり、栄養状態が悪かったり、疲労が蓄積していたりすると、免疫力は低下し、白血球による防御機能が十分に発揮されないことになります。
この際にはバイ菌が血管に入って全身に運ばれる「菌血症」へと移行します。
またバイ菌はアレルギー性の腎炎や関節炎、皮膚炎の引き金となることがあります。
さらに運が悪いと、「感染性心内膜炎」が引き起こされることがあります。
「感染性心内膜炎」とは心臓にバイ菌が感染し、菌血症や血管塞栓などを起こす全身性敗血症性疾患です。
発症率は比較的低いのですが、死に至ることがある恐ろしい病気です。
ただし、予防することは出来ます。
感染性心内膜炎による最悪のケースを招かないために、定期的に歯科健診やメンテナンスに受診し、歯科医師の診察を受けて下さい。
当院では平均3か月に1度、定期健診に来て頂き、一度は虫歯になってしまっても悪化しないよう、そしてその後の生涯を健康に幸せに暮らして頂けるよう努めさせて頂きます。